自分のアタマで考えよう -知識にだまされない思考の技術-   ちきりん

Chikirinの日記で有名なブロガーのちきりんさんの本。

ブログは時々読んでいたので本が出た時も気にはしてたんですが、その時は手に取らずじまいでした。

たまたま本屋で見かけて最初の方をペラペラとめくって見た時に、序章の「プロ野球ファンの年齢別構成比の変化」で何が読み解けるかという問題で、すでに自分の頭が知識に支配されて思考できていないことに気付かされてびっくり。そのまま購入してしまいました。

自分のアタマで考えるとはどういうことか。この本の最後に書かれていることを引用すると以下の通りです。

  • いったん「知識」を分離すること!
  • 「意思決定のプロセス」を決めること!
  • 「なぜ?」「だからなんなの?」と問うこと!
  • あらゆる可能性を探ること!
  • 縦と横に並べて比較してみること!
  • 判断基準の取捨選択をすること!
  • レベルをごっちゃにしないこと!
  • 自分独自の「フィルター」を見つけること!
  • データはトコトン追いかけること!
  • 視覚化で思考を深化させること!
  • 知識は「思考の棚」に整理すること!

具体的な中身は本書を読んでもらうとして、まとめを見て分かるようにざっくり言えばロジカルシンキングや図解などビジネスでよく使われる手法について述べられた本です。しかし、この本には他の本にないよい点があると思います。それは口語で分かりやすく書いている点と、例示されている内容が身近で具体的な内容である点です。

 

多くのビジネス書は文体が固く、読む人を選ぶ傾向があります。つまり思考を学ぶ前にその文体に慣れる期間が必要になってしまうのです。本来手に入れたいのはそこに書かれている内容なのに、事前に別のハードルがある状態と言えます。しかしちきりんさんの文章は口語調で平易なため、文体を意識せずに書かれている内容に集中して読めるのがよい点でした。

 

同時に例示されているものが身近で具体的な点も非常によかったです。ビジネス書でこういった考え方を学ぶ場合、当然ながら自分の会社とかけ離れた事例が挙げられていることがほとんどです。これはリアリティを感じることが難しく、どこかで起きた遠いことに当てはめるための公式を覚えさせられているような感覚になりがちです。

しかしこの本で挙げられている例は、「プロ野球ファンの年齢別構成比」「石原知事はなぜ圧勝したの?」「婚活女子のマトリクス」「震災やテロの報道を通じて見えたNHK、CNN、BBCの報道の違い」など、自分たちの身の回りにあることを題材に思考方法を書いています。そのため同じ内容に関してちきりんさんと自分の考え方の違いを比較し、自分の今までの思考を見直すことができました。また身近な問題に関して今後はどのように考えればよいかの筋道も見えてきます。思考法はビジネスのために身に付けるものだと考えがちですが、生活のいろいろなシーンで活用できる便利なツールなんだということが感じられる点が非常によかったです。

 

発展途上国の援助に関する議論の中で「水を与えるのではなく、井戸の掘り方を教えろ」みたいな言葉が出てくることがありますが、この本も答えを与えるのではなく答えの出し方を教えるという点では近いものがあるのかなと感じました。

人材教育の仕事をしている中で「答えだけを欲しがって自分で考えようとしない人」が結構な割合でいることを感じていました。そういう人たちに考える力を付けてもらうにはどうすればいいのかのヒントが欲しくて読んだのですが、自分自身が十分に思考できていないことに気付かされたのがとても面白かったです。

この本に書かれていることをヒントにしながら、この本に書かれている内容が答えの全てだと思わないように注意して、僕自身も自分のアタマで考えようと思いました。

 

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