ワークシフト  リンダ・グラットン

昨年話題になっていたワークシフトをKindleで読んだ。

2025年の世界を多くの人々のディスカッションや様々なデータから予測し、やってくる未来をよりよく生きるために生き方をシフトしようという本。

やってくる未来に対して単一の未来図を予想するだけでなく、何パターンかのストーリーを用意することで幅広く想像力を掻き立てる内容になっていた。

この本では未来の予測に基づいて、3つのシフトを行うことを推奨している。

第1のシフトは、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へのシフト。

昔は幅広い分野の知識と技術を持つ人が評価されていた。今は専門スキルを持った人の単価が高い業種もある状況。しかし未来の世界ではグローバル化とテクノロジーの進化によって、自分と同程度の知識・技能でより安く早い人が大勢生まれるはずなので、その他大勢から自分を差別化するためには技術の専門化・高度化が必須になるだろうというもの。ただし特定の技術に偏ると陳腐化するリスクがあるため、関連する専門技術を連続的に習得していく必要もあるということだった。

 

第2のシフトは、孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へのシフト。

課題解決の際に頼りになる専門化の集まりとしての「ポッセ」、多様なアイデアが出てイノベーションを促進してくれる「ビッグアイデア・クラウド」、バーチャルな関係が増す中で生身での触れ合いがあって温かい人間関係が築ける「自己再生のコミュニティ」の3種類の人的ネットワークを築いていく必要があるというもの。

 

第3のシフトは、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へのシフト。

マズローの欲求5段階説に当てはめると賃金は「安全の欲求」に当てはまるが、経済発展によって生活に必要な賃金が得られるようになるとより高次な欲求が求められるようになる。しかし、起業はお金以外に評価の軸を持たない。金銭的な面をある程度諦めることで、仕事では得られない経験を手に入れることもできる。つまり自分の人生にとって大切なものを考え、お金と経験のトレードオフを理解して主体的に選択することで、すべての時間とエネルギーを仕事に吸い取られる人生ではなく、もっとやりがいを味わえて、バランスの取れた働き方に転換することができるというもの。

 

読んだ内容を自分が気になった視点でまとめると上記の3つになるかなと思う。これらを読んでいて思ったことは、IT業界の一部ではすでに起きつつある変化がその他の産業にも訪れるという予測なんだなということ。

テクノロジーの進化がもたらす世界という意味では、その最前線にいるIT業界に最初に変化が起きるのは当然のことかもしれない。

その流れが本当に他の産業にも表れるのか、それともIT業界だけに留まるのかは分からない。あるいは全く違った世界がやってくるのかもしれない。

けれども少なくともここで予測されている「人々が主体的に選択し、考えて生きる未来」というのは個人的には好ましいもののように思えるので、僕はこの予測をある程度は受け入れて未来に向けた準備をしてみたいなという気持ちになった。

ちなみに人々の生き方の多様性を認める考え方は企業では馴染まないかもしれないけれど、その辺は本書に「大企業とミニ起業家が活躍する」と書かれてたところとマッチするのかな。今まで通り企業の中で働くのを好む人はそうするし、より自由な生き方を選択したい人は自立と共生を選ぶ。この本では特に後者をオススメしていると感じるけれど、前者が否定されているわけではないところもよいなと思った。

 

正解・不正解ではなく、これをきっかけにして議論が広がることがよいのではと思える本でした。

 

 

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