初めての裁判傍聴(JPNICが訴えられた件について)

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Twitterでお世話になっている中京大学情報理工学部の鈴木常彦教授が原告となって、日本のIPv4アドレスとAS番号の管理を行なっているJPNICを訴えました。

その第1回口頭弁論が東京地方裁判所であったので、初めての裁判傍聴として行ってみました。

前半では訴訟の内容について、後半では初めての裁判傍聴について書いていきます。

訴えの内容について

技術的な背景がないと理解するのが難しい部分がありますが、大まかな内容について僕の理解の範囲で初心者向けに噛み砕きながら書いてみたいと思います。また僕の理解の範囲なので、鈴木先生ご本人の考えや思いとは違っている可能性もありますのでご了承ください。

前提

  • IPアドレスというのはインターネット上の住所にあたるものです。現実の家の住所が重複しないように、IPアドレスも基本的には重複しないものだと考えて下さい。インターネットは世界中に繋がっているので、世界中でIPアドレスが被らないように管理する必要があります。世界中のIPアドレスが被らないように管理するためにICANNという団体があります。そこから世界中にIPアドレスが割り振られていくのですが、その中でJPNICは日本国内のIPアドレスの管理を行なっています。
  • 商用のインターネットが本格化する前に、プロバイダを介さずに国際的なIPアドレス管理機関からユーザーが直接割り当てを受けたIPアドレスがあります。それを歴史的PIアドレスと呼んでいます。
  • ASとは統一されたポリシーを持ったネットワークの集まりのことです。ISPが代表的なASです。インターネットの実体はAS同士が相互接続したものだと言えます。ASとしてインターネットに参加しているネットワークはAS番号を持ちます。一般的にはISP、大学、一部の大企業などがAS番号を持っていると考えてもらえばよいのですが、例外的に個人でASを運用されている方も中にはいます。

訴訟の背景

  • JPNICが規約を一方的に変更し、利用者が同意していないにも関わらず歴史的PIアドレスやAS番号に対して維持料を課すことを決めたことがきっかけです。

訴訟の内容

  1. 契約の根幹に関わる事項の変更を行っている
  2. 被告が規約を変更し維持料を請求する合理的理由はない
  3. 上記2点から規約変更権条項は信義則に反し無効である

というものです。

鈴木先生がブログの中で「無料のオンラインゲームをある日突然有料にすることも可能になるのではないか」と書かれていますが、この規約変更権条項に関してどのような判例がでるのかは非常に気になります。

また今回の訴訟では論点を絞るために規約変更の不当性に関して訴訟を起こしてるそうですが、鈴木先生としては本当に訴えたいのはJPNICの非民主的な運営だとのことです。

インターネットはインフラになったとよく言われます。例えば参院選に向けてネット選挙についての話題が盛り上がっていて津田大輔さんなんかもいろいろと発言されていますが、そういうコンテンツを支えるネットワークインフラの部分が鈴木先生のおっしゃる通り非民主的に運営されているとしたらどうでしょうか。その非民主的な動きがコンテンツにまで及ぶのではないか、自由なインターネットが失われるのではないか。鈴木先生のお話を聞く中で、そういう懸念も含めた訴訟なのだなと感じました。

 

ちなみに訴訟に至る背景や訴状の具体的な内容に関しては、鈴木先生のブログを見てもらうのがよいかと思います。

インターノットの民主化のために

 

初めての傍聴について

地下鉄の霞が関で降りてすぐのところに東京地方裁判所はありました。入り口に飛行機の搭乗口にあるような持ち物検査機があって、そこを通過すると裁判所の建物に入ることができます。

入ってすぐのところに受付があって、そこに行われる予定の裁判一覧がジャンル分けされて置かれていました。紙をペラペラとめくって見てみると、有名企業の商標に関する裁判など興味を惹かれるものがいくつかありました。隣にいたグループが「時間的に見て、まず見れるのはこの裁判じゃないか?」みたいな話をしていたので、裁判に関わる人ではなく一般の傍聴者のようです。周りを見回しても思ったより空気が重くありません。日本の裁判所はこんなに開かれていたのかと驚きすら感じました。

目的の裁判の時間が近かったので開催される法廷のあるフロアに移動。待合室で鈴木先生を見つけて初めてのご挨拶。想像していたよりも温和そうな方でよかったと思いながら、開廷の時間を待ちます。

時間になり法廷の鍵が開いたところで入廷。小さい法廷でしたが、テレビで見るようないかにもな部屋の造りにテンションが上りました。

しばらくして裁判が開始。訴状と事前に提出していた書面の確認、そして口頭でいくつかの質問がなされて5分程度で終了。正直なところ「え?もう終わり?」という感じでした。あとからお伺いしたところ書面審理のみということもあるのだそうです。

「異議あり!」みたいな派手なシーンはなかったものの、現実の裁判を見れたのはよい経験になったなと思いました。基本的には好きな裁判を自由に見られるようなので、審理が進んでいる裁判を選んで見ればもっと裁判らしい裁判が見れるのではないかと思います。一般の人には馴染みのない裁判ですが、実際に見ると身近に感じられるものなので興味がある人はぜひ行ってみることをオススメします。

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